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税理士所長コラム

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2009/08/16

インターネットがもたらす情報は企業と顧客の立場を逆転させる

製品レベルでの対応にはもう限界が見えている

作り手側の立場に立つプロダクトアウトの考え方から顧客を中心に考えるマーケットインの考え方に変化してきた。今では、消費者の価値観が多様化し、さまざまなバリエーションの商品やサービスでなければ顧客のニーズに対応できなくなっている。多様化した価値観と低価格を両立するために、徹底したマス・カスタマイゼーションによる戦略も行われている。

マス・カスタマイゼーションとは、顧客がもつ個別の要望に応えるため、大量生産の中でカスタマイズのコンセプトを取り入れながら低コストを実現する考え方のことである。自動車業界、パソコン業界など様々な分野で繰り広げられていて、消費者は自分に合った製品を安く手にすることができるようになった。

しかし、このような製品レベルで対応しようという多様化の考え方にも限界が見え始めたように思うのである。 このマス・カスタマイゼーションによって、20世紀型モノ売りの最終局面を見たような気がするのは私だけだろうか。

20世紀型のマーケティングは「狩り」に似ている

マーケティングは、4Pと呼ばれる要素で構成されている。すなわち、プロダクト(製品)、プライス(価格)、プレイス(流通)、プロモーションのスペリング頭文字をとって4Pである。詳細解説は教科書に譲りたいと思う。

モノがない時代ではあまり考えなくてもモノは売れたが、やがて店先に商品を置いておくだけではモノが売れなくなったので、どのようにしたらモノが売れるのか、どのように効率よくモノを売っていくか、ということを考えることが必要になった。

WEBマーケティングという考え方が普及する以前は、マーケティングとは欧米発のとても合理的とも思える「狩り」のようなものだったようである。顧客が獲物であり、狩人である企業は獲物を狙い撃ちするために様々な工夫を凝らすことになる。餌をまいてのおびき寄せや罠を仕掛けて囲い込み作戦など、獲物の習性を研究する行為がマーケティングリサーチに相当する。

ビジネスの現場で具体的に言えば、広告宣伝を利用した顧客の誘導から囲い込み、販促キャンペーン、プッシュ型で代表されるテレマーケティングなど、まだまだ現在でも利用されているものは多い。先ほどの4Pのうちプロモーションのレベルで、提案型、プッシュ型の手法は今でも多く見られるのだ。

しかし、このようなマーケティング手法がうまくいくのは、獲物である顧客が狩人ほど知恵や情報をもたないということが前提なのである。つまり、顧客が多くの情報を得ている現代では、このような方法を続けている限り、企業が衰退に追い込まれるのは時間の問題ということになる。

情報が顧客にどのような影響を与えるかについては、この例によって本質を十分に理解することができるだろう。

広告手段が変化している

いま、企業の広告費が激変している。いわゆるマスコミ4媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)について、大手企業でこれらの広告予算を減少させているところが増えてきている。いまや顧客は情報源に恵まれており、マスメディアに依存する必要はない。

大手検索エンジンを利用すれば、顧客の見たい時に見たい情報が手に入る環境が整っているし、ネットショッピングを利用する顧客なら、商品の知識についてもわざわざ店頭まで出向いて販売員から説明を聞く必要もない。 そして、マスメディアのように、広く無差別に伝達される方法よりも、顧客から能動的にアクセスして情報を得る方法のほうが好まれる向きもあるようだ。 また、顧客の立場からは、テレビCMや新聞広告などのようにプロの編集者やライターが編集した情報よりも、消費者や体験者による生の声を欲しがる傾向にある。このような傾向は今後も続くと見られ、WEBを利用した広告へシフトする材料となっている。

こうした顧客動向を無視してマーケティングを考えることはあまりにも利を見ないことなのである。

情報を得た顧客はどうなるか

インターネットによって、顧客はほとんどの情報を自ら入手することができるようになった。それは、商品やサービスに関する知識だけではない。その企業から本当に買ってもよいのだろうかという疑問についても、情報を得ることである程度解決できるようになる。より客観的な情報を手に入れようと、その企業のホームページだけではなく、コニュニティーサイトやブログの書き込みなどにもアクセスを試みる。

いつの間にか獲物と思っていた顧客が狩人よりも情報をもち知恵をつけ、市場に対してより客観的で冷静な評価を下すようになっている。このように、「調べる顧客」もっと言えば「学習する顧客」の出現によって、企業は狩る側から狩られる側に逆転しているのである。

これからも価値観を創造する中心的存在は顧客

情報は企業の思惑で一方的に発信してもほとんど意味をなさないことがうかがえる。顧客の立場で納得できる情報でなければ意味をなさない。情報発信をする際、その裏側に存在する読み手たる顧客の存在を意識できているかがコミュニケーションを始める第一歩である。

売上を伸ばしている商品やサービスは、顧客からの要望を反映し、顧客との情報交換の中から生み出されているものが多い。これがもう少し進化した形として、情報はコミュニケーション化し、商品やサービスは企業とお顧客が一緒になって共同作業で作り上げていくという時代がやがてやってくるような気がする。

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